宮古島市への提言書

 元被災地NGO恊働センターのスタッフで、当団体の機関誌あるあるの編集メンバーでもある山田光(沖縄県宮古島市在住)さんが、宮古島市に対して提出した提言書の内容が、非常に整理されているため、他地域での県外避難に関する参考文献として、以下に紹介させていただきます。

 

以下、部分的に抜粋して掲載

ご提言

 今回の大災害は、全国のみなさんで支え合わないと解決できないほどの深刻なものになっていることはご承知のとおりです。ここ数日で、全国の自治体が続々と被災者を受け入れることを表明しました(2011.3.20沖縄タイムス掲載記事参照)。

 沖縄県の仲井間弘多知事も3月18日に被災者受け入れを数万人規模で受け入れることを発表し(2011.3.19宮古毎日掲載記事参照)、予算についても数十億円規模を補正予算で捻出する方針を明らかにしています。

 また、新聞報道によると仲井間知事は、宮古、八重山地域への被災者受け入れについても積極的に依頼したい考えであることが明確になっています。

 そこで、この度の東北地方太平洋沖地震の対応担当部長へ「被災者の受け入れについて」、阪神・淡路大震災の際に、ボランティアに携わった経験をもとにご提言をさせていただきます。

 あらかじめ、お断りしますが、今は、早く、安全な、安心できる地域へ一時避難することは急務であり、県外で被災者を受け入れること、そのものに反対するものではないので、誤解のないようご理解いただきたく思います。

 私は、阪神・淡路大震災で県外へ避難した方々の支援を行っていましたが、隣接する神戸―愛知間ですら、地域の温度差によるストレスや、地元神戸の情報が届かなかったり、全財産を失って遠くへ移住したために戻ることも容易にできず、再建への道筋を断たれてしまったことなど、非常に多くの課題を目の当たりにしてきました。

 沖縄県知事は、「最大数万人」の受け入れを想定し、短期的にはホテルや民間アパートなどの宿泊施設を利用し、長期的には公営住宅を確保し、仮設住宅の建設も検討するということです。また、被災者の経済状況に応じて沖縄までの旅費や宿泊費の負担、医療や福祉、教育サービスの提供についても視野に入れています。

 このように被災者への手厚い対応の姿勢が垣間見られますが、受け入れた以上は、被災者の受け入れの初期だけでなく、その後の課題にも関わり続ける覚悟は必要だと思います。

 阪神・淡路大震災では、県外へ避難した被災者の数は十数万人ともいわれ、被災から3年後も五万人余が望郷の念を秘めながら神戸に戻れずにいたといわれています。(西田公夫記念誌「ありがとう、うれしかった。」45頁)それから考えると、被災者の受け入れに関わることは、長期化を想定する必要があると考えます。

 このたび、最も強くご提案申しあげたいことは、誰でもいいから受け入れよう、というのではなく、被災地の同じ地区、同じ学校区といった、まとまった地域で避難者を受け入れることです。そうすることで、同じ地区での苦しみを分かち合うこともできれば、わがままも言えますし、許容もできます。また、今後の自分たちの地域の復興をどうしていくかを、直接話し合えます。

 実際に、関西広域連合は、被災地の避難所を丸ごと受け入れることを決定したようです。(3月20日付けの沖縄タイムス・社説参照)

 そして、今後、「地元に戻りたい、地元で復興していきたい」という思いに応えられるよう、長期に渡る金銭的な支援も念頭に入れていかねばならないと思います。

その他の要望事項

1.長期的、計画的な避難者への支援

 県外避難者は、高齢者や全財産を失った人たちも多いと思いため、3年~5年と避難生活の長期化も想定されます。そこで、市の政策の中に、長期的、計画的に位置付けた上で受け入れる必要があると思います。

2.防災復興課(仮称)の新設

 市の防災をはじめ、避難者の長期的・継続的な支援体制に万全を期すために防災復興課を新設し、市における避難者対応の事務分掌を明確に位置付けることを要望します。

3.送り出す側の自治体との連携強化と維持

 県外避難者の大きな要求の一つは、主に「復興に関する情報」だと考えられます。そこで、送り出す側の市や町と密接な関係を維持して、被災者の地元の公営住宅の募集状況や、義捐金支給に関する情報など、避難者が求める情報の提供につとめることが肝要であると思います。

4.心のケアの専門員の配置

 震災で身内や友人、財産を失ったことによる喪失感は、体験した人でないと知り得ないことと思います。また、生活習慣の違い、話し相手もいない土地での孤立感から不安定な精神状態で日々を過ごすことも考えられます。避難者のために、心のケアが安定的に提供できるシステムをつくることは重要です。ぜひ、心療に係る専門員の配置をお願いします。

5.避難者に係るボランティアのネットワーク創出

 避難者の継続的な話し相手など、身辺の世話、避難者の自治組織の支援にあたるボランティアの育成とネットワークづくりを進めていただきたいと思います。

宮古島市への提言書
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